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乳歯列反対咬合

乳歯列の反対咬合で特に左右的偏位がある場合には、早期の咬み合わせの改善が望まれます。
乳歯列時の咬み合わせの改善により、永久前歯が萌出した後の正常な咬み合わせが期待できます。
本症例も前歯が永久歯に生え替わったあと、正常被蓋になりました。
ただ生え替わりにスペースがやや不足していたため、歯列の拡大を行いました。

主訴咬み合わせが逆、受け口
診断名乳歯列反対咬合(下顎の前方位)の症例
初診時年齢5歳2ヶ月
装置名ポステリアバイトプレート、上顎拡大装置、リンガルアーチ
抜歯の有無無し
治療期間永久前歯正常被蓋の獲得1年6か月、永久歯列完成までの経過観察を含め5年7か月
費用の目安治療費:32万円、処置料:4,000円×38回
リスク
副作用
前歯のかみ合わせが治った後、犬歯から後方の歯が生え替わるのに数年かかります。生え替わる隙間が足りない場合、歯列の拡大などが必要になります。また必要に応じ、上下顎の発育バランスを整える処置(上顎の前方牽引など)を行います。思春期成長期に下顎が大きくなり(下顎の過度な発育)咬み合わせが逆になっていく場合、あるいは成長のアンバランス(左右での)により顔面非対称を呈する場合があります。この場合は成長終了後の外科的矯正治療により、咬み合わせの改善が必要になります。

叢生

治療初診

治療終了時

萌出スペースが不足している場合、前歯が内側に出てきたり斜めに生えることがあります。
歯列の幅を無理のない範囲で広げる(拡大する)ことで、萌出するための場所を確保出来る場合があります。
広げた場所にズレている歯を誘導することで、整えることが可能となります。
歯の萌出と、装置を使用するタイミングが、治療効果には重要な要素と言えます。

主訴前⻭のガタガタ、変なところに⻭が⽣えている
診断名アングルⅠ級、前⻭部叢⽣の症例
初診時年齢7歳1ヶ⽉
装置名上下顎拡⼤床、3Dリンガルアーチ
抜歯非抜歯⾮抜⻭
治療期間1年10ヶ⽉、以後経過観察(3年)を経て2期治療へ
費用の目安1期治療費:30万円、処置料:4,000円×16回
リスク
副作用
取りはずし可能な装置の場合、使⽤時間が短いとほとんど効果がありません。使⽤時間の⼗分な確保のため、本⼈とご家族の協⼒が⼤事です。また前⻭が整った後は側⽅⻭の⽣え替わりに期間がかかりますので、後戻りを防ぐため整えた⻭の固定(保定)が⼤事です。⻭を固定している期間は1年に2〜3回の経過観察になりますが、⻭の⽣え替わりの管理が次のステージ(2期治療)に⼤きく関わります。永久⻭萌出完了後、全体的な評価を⾏います。⽣え替わった⻭の幅(⻭冠幅径)が⼤きすぎる場合は、永久⻭列全体の治療のため⼩⾅⻭などの抜⻭が必要になることもあります。

上顎前突

本症例はヘッドギアにて上顎前歯を後退するスペースを獲得した後、上顎前歯を整列しました。
その後バイオネーターにて下顎の発育を促し、上下顎の前後的なバランスを改善しました。
装置の使用には非常に協力的であったため、良好な結果が得られました。
1期治療が功を奏し、2期治療は必要ないところまで改善できました。

主訴出っ歯(前歯の突出)
診断名上顎前歯の唇側傾斜と、下顎の後退による上顎前突の症例
初診時年齢8歳4ヶ月
使用装置パラタルアーチ、ヘッドギア、セクショナルアーチ(2×4)、バイオネーターバー
抜歯の有無非抜歯
治療期間3年2ヶ月(経過観察期間含む)
費用の目安治療費:30万円、処置料:4,000円×23回
リスク
副作用
ヘッドギア、バイオネーターなどの装置を使用する場合、使用時間が少ないと十分な治療効果がでません。また治療時期も重要で、タイイングが遅くなると装置の効果も限定されてしまいます。1期治療で改善できない部分は、2期治療でマルチブラケット装置による治療を行います。その際に永久歯の抜歯が必要になることもあります。1期治療で十分な改善が出来た場合でも、しばらくは成長観察と歯列の安定性を確認する経過観察が重要です。

開咬

本症例は、1期治療で前歯が上下的に咬み合うことを目標に治療を進めました。
永久歯の交換に交換後、機能的咬合の確立のため2期治療に移行しました。

主訴前歯で咬めない
診断名上下顎前歯の唇側傾斜と、下顎の後方回転による開咬の症例
初診時年齢8歳4か月
使用装置タングクリブ、パラタルアーチ、ヘッドギア、筋機能療法
抜歯の有無非抜歯(1期目)
治療期間3年2ヶ月(経過観察期間含む)
費用の目安治療費:30万円、処置料:4,000円×26回
リスク副作用開咬には舌の突出癖を伴うことが多く、筋機能療法(MFT)によって舌位と舌機能の改善が肝要です。舌の訓練を十分に行うことが、予後にも大きく関わります。また治療開始時期も重要で、タイミングが遅くなると舌癖の改善にかなり時間を要します。咬み合わせと歯列の整列のため、2期治療でマルチブラケット装置による治療を行います。その際に永久歯の抜歯が必要になることもあります。1期治療で十分な改善が出来た場合でも、しばらくは成長観察と歯列の安定性を確認する経過観察が重要です。

開咬(2期治療)

本症例は、1期治療で前歯が上下的に咬み合うことを目標に治療を進めました。
永久歯の交換に交換後、機能的咬合の確立のため2期治療に移行しました。
2期治療では歯列全体の整列と口元の審美的改善のため、小臼歯を抜歯しました。
上下顎前歯後退のために時間を要しましたが口唇閉鎖が容易となり、すっきり整った口元に改善が出来ました。

主訴前歯で咬めない
診断名上下顎前歯の唇側傾斜と、下顎の後方回転による開咬の症例
2期治療開始時年齢13歳6か月 
使用装置マルチブラケットアプライアンス、筋機能療法
抜歯の有無抜歯(上下顎左右第一小臼歯)
治療期間3年4ヶ月
費用の目安治療費:30万円、処置料:5,000円×35回
リスク副作用舌の突出癖は、改善が困難な症状の一つです。筋機能療法(MFT)によって舌位と舌機能の改善を行いますが、マルチブラケット治療の最中でも影響を受けることがあります。このような場合、抜歯空隙の閉鎖に時間を要します。治療期間が長くなる場合は、治療中のブラッシングが非常に重要です。根気よく口腔内の衛生管理をすることが必要です。